ラグビーの試合開始となるキックオフですが意外と知られていないルールがあります。もちろん「ノット10m」のことだけではありません。知らなくてもプレーはできますが審判に任せてばかりでなくて自分たちでも選択肢(オプション)を判断して有利に試合を運びましょう。

キックオフ

試合開始するとき、ハーフウェイラインの真ん中でボールをワンバウンドさせて敵陣に向けてボールを蹴るでしょう?
あのドロップキックがキックオフです。
試合開始のとき、後半開始のとき、トライ後のコンバージョンやペナルティーゴールの後の試合再開(得点後の試合再開)、などで蹴られます。
前半でキックオフしたチームは、後半は相手チームにキックオフさせることになります。
得点後は得点されたチームがキックオフをします。
(7人制は得点されたチームの攻撃のチャンスを増やすため得点した方がキックオフします。)

このとき相手チームはキックされるまでは10mラインより後方(自陣側)にいなければなりません。

このキックオフですが、ハーフウェイラインの中央で行われますが、ハーフウェイラインより後方であれば問題ありません。
ただし、その際味方選手はキッカーよりも後ろに位置していなければいけません。
ドロップキックのみが有効なキックオフの蹴り方ですよ。
キック自体が正しく行われなければ、相手側の選択が2つあります。
・もう一度キックオフをやらせる。
・キックオフしなかった側のボールでハーフウェイライン中央でスクラムを組む。

さらにキックしたボールは相手側10mラインを超えなければなりません。
(10mラインはハーフウェイラインから10mにある点線のラインのこと)

10mラインを超えなかった場合、相手チームにいくつか選択肢が与えられます。
もちろんタッチラインを超えてダイレクトに外に出た場合も選択肢が与えられます。

2つの「ノット10m」

ノット10mというルールは2つの取り方ができます。
1つは、試合開始のときのキックオフでボールが相手陣地側に10m以上超えていないときに使われるルール。
もう一つは、オフサイドの際、オフサイドラインから10m以上戻り切れていない場合の「ノット10mバック」。

ノット10mバックについてはオフサイドの説明のときに説明しますので、
ここではキックオフのときの「ノット10m」について説明しておきます。

このルールは知っていると役に立つかといえば、実はあまり役に立ちません。笑
「ノット10m」は試合開始直後で分かり易いルールなので選択肢がいくつかあるだけです。
プレーの再開方法はオプションとしてレフリーが教えてくれるのでキャプテンの選択次第となります。

ただし、プレーを続行させるかどうかはレフリーが決めるにしても、選手が勝手に判断ミスしてプレーを止めてしまうかどうかは別問題です。
ルールはおさえた上でプレーの判断をして、最後はレフリーに任せましょう。

ノット10mと選択肢

キックオフは相手陣地10mラインを超えなければなりません。
もちろんバウンドしてでも、転がってでもかまいません。
とにかく相手選手に触れずに10mを超えるかどうかが問題です。

もしタッチラインをダイレクトに割っていないにもかかわらず、10mラインを超えなければ「ノット10m」となり、
相手チーム(キックオフしたチームではない側)には3つの選択が与えられます。

・キックオフした相手チームにもう一度キックオフをやり直させる。
・自分のチームのボールとしてセンタースクラム(ハーフェイライン上真ん中でのスクラム)を選ぶ。
・もう一つは、相手チームがボールに触らず「ノット10」をアドバンテージをレフリーが見ている限りでのプレー続行。

ノット10mでも自分のチーム(キックオフしていないチーム)がボールをキープした場合はプレーを続けてかまいません。
全てが「ノット10m」とはならないので勝手にプレーをやめないようにしましょう。
せっかくボールをキープできている状態なので攻撃あるのみです。

キックオフのボールが10mを超えていない位置でノックオンしても「ノット10m」が先に起こっているので、
「ノックオン」がコールされることにはなりませんから積極的にボールを取りに行きましょう。笑

もし、ノックオンしてしまっても、ルールの適用は「ノット10m」なので自分チームのボールではじめることができます。
センタースクラムが通常は選択されます。

キックオフがダイレクトにタッチになった場合

この場合も相手チーム(キックオフしなかったチーム)に選択肢(オプション)がいくつか与えられます。

・キックオフした相手チームにもう一度キックオフをやり直させる。
(これは10mを超えなかった場合と同じです。)
・自分のチームのボールとしてセンタースクラム(ハーフェイライン上真ん中でのスクラム)を選ぶ。
(これも10mを超えなかった場合と同じ。)
・もう一つは、キックオフを認めてタッチとしてラインアウトを選択する。
・あ、それとクイックスローインもオプションに加わります

ただし、この三つ目の場合ラインアウトはハーフウェイラインより自陣(キックオフされた側)で行われることはありません。
キックオフされたボールが自陣側でタッチにでたときはハーフウェイライン上でラインアウトになりますが、
風でボールが戻されてハーフウェイラインよりキックオフした側でタッチにでた場合は、その地点でラインアウトとなります。

いずれにしても、
キックオフは10mを超えたフィールド内に落ちなければ相手チームのボールでプレーが再開するということですね。

意外に知られていない10mの見えない壁

これもレフリーの判断になるので知らなくても良いことですが、
キックオフの際、10mライン上には見えない壁があります。

2017年に試験採用されているタッチライン上の立平面と同じ意味ですが、
10mライン上にも以前から立平面は存在しているのです。

キックオフでは10mラインが基準となりますが、
風下にいて高く蹴り上げたボールが一度上空で10mラインを超えたとしましょう。
その後風に押されて自陣に戻ってきたとしても、
一度10mラインの立平面を超えたボールはキックオフが成立しているのでその後は通常のルールが適応されます。
だから、一度10mラインを超えたボールが自陣側に戻ってきても「ノット10m」とはなりません。

風が強い日に、高校生の試合を見ていて、「ノット10m」をとられるチームが結構ありますが、
中には「今のは超えてるだろう」と思える状況を何度も見ました。笑

キックオフのボールがインゴールまで入った場合

ここまでは高校生に多い、10m付近のルールについて見てみましたが、
キックオフのボールがインゴールまで飛んだ場合もあるので一応、知っておきましょう。

キックオフのボールが選手に触れず相手側のインゴールに入った場合
相手側(キックオフしていないチーム)は次の3つの選択ができます。

• ボールをグラウンディングする。
• ボールをデッドにする。
• プレーを続行する。

上の2つは迷いなくすぐにしなければいけません。
ボールを拾い上げて上の2つ以外の動きをしたら、3つめの「続行する」ことを選択したとみなされます。

上の2つを選択した場合は、その後の再開方法に選択肢が2つあります。
・キックオフを相手チームにやり直させる。
・自分チームのボールとしてハーフウェイライン中央のスクラム。
これは「ノット10m」の場合と同じです。

三つ目のプレー続行はそのままプレーを続けることなので説明はいらないでしょう。
続行を選択した後のルールは通常ルールになりますので判断を素早くしましょう。
7人制ではありかもしれませんが、陣地を有利にしたい15人制では「続行」は判断ミスになりかねませんね。

キックオフには他にもルールがありますが、
ここまで知っておけば試合は始まります。笑

 ラグビーのルール(競技規則)一覧

フォワードとバックスで意識しておくルールが違いますが、試合開始直後のことです。
有利に試合展開するためにもしっかり把握しておきましょう。