ラグビーの試合を観ていて、というかラグビー用語で一番耳にする有名なのがノックオンかもしれません。ラグビーのルールがややこしく感じるのは反則後の選択肢の多さです。ノックオンにも種類がありますが理由は簡単です。ただ、判定が微妙なのがこのノックオンですね。
ノックオンとは
一言で言えば「ボールを前に落とす」ことです。
ボールを落としても後ろに落とした場合であれば「ノックバック」というのに何故「ON」なのか?
ややこしくしている原因の1つですね。笑
(英語の「on」は触れる状態を意味するので地面または他の選手に触れるということでしょう。)
ルールブックに記載されているのは
ノックオンとは、プレーヤーがボールを落としボールが前方へ進む、または、プレーヤーが手または腕でボールを前方へたたく、または、ボールがプレーヤーの手または腕にあたってボールが前方へ進み、そのプレーヤーがそのボールを捕りなおす前にボールが地面または他のプレーヤーに触れることをいう。
「前方へ」とは、相手側のデッドボールラインの方向へ、という意味である。
相手にタックルをしたプレーヤーがボールに触れ、そのボールがボールキャリアーの手から落ちて前に転がった場合は、ノックオンとみなされる。プレーヤーが、相手の手からボールをもぎ取ったり故意にたたき落としたりして、そのボールがボールキャリアーの手から落ちて前に転がった場合は、ノックオンとはみなされない。
ですので、少しだけ分かり易くしてみます。
「プレーヤーが落としボールが前方へ進む」、とはありますが真下でも落とした時点でノックオンです。
「前方へ進む」というのは「今のは後ろに落としてるだろ」と思えても、そのボールが地面について前に転がったらノックオンということです。
ちょっとやっかいな解釈をしているケース
『プレーヤーがボールを落としボールが前方へ進む、または、』
とルールブックに続いて記載されているのだから、
『プレーヤーがボールを落としボールが前方へ進む』
ルールブックのこの時点で、
キックされたボールを取り損ねて胸ではじいてもノックオンだ、
という解釈をしている人もいらっしゃるようです。
が、実際に試合ではノックオンになりません。
「手は使ってない」とレフリーは判断しています。
というのも、
ルールブックのノックオンの部分だけをみると、
日本語としての解釈をすればそうなるかもしれませんが、
(実際の試合を観ていればそういう言う方はしないと思うのですが、)
この『プレーヤー』には違いがありそうです。
引き続き『スローフォワード』の項目では、
『例外』として、
2018年度の競技規則はまだまだ未完成というか、
いい加減過ぎる内容なので4月の時点でこの記載はありません。
これを足して解釈すれば、ノックオンにおける『プレーヤー』に違いがあることがわかります。
先の『プレーヤー』とは、ボールを持っていたプレーヤーと解釈すべきではないでしょうか。
ボールを持っていたプレーヤーとボール付近にいたプレーヤーとは違います。
このやっかいな解釈をしている人はラグビーに相等詳しいらしく、
自信満々に答えているので、こちらの解釈が違っているのカモしれません。
A級レフリーに確認して見ると良いですね。笑
ノックオンの続きです。
「または」の後ですが、
「前方へたたく」と「あたってボールが前方へ進む」
は「手または腕」なので、よそ見をしていて顔にバイ~ンとあたって前にボールが進んでもノックオンではありません。
もちろん、足にあたって進んでもノックオンにはなりません。
サッカーのように手を身体に密着させていればハンドにならない、とは少し違うのでご注意ください。
さらにその後の
「プレーヤーがそのボールを取り直す前に地面または他のプレーヤーに触れる」
というのは、手や腕で前方へはじいた時点ではノックオンにはならない、ということです。
前にはじいたボールを自分で処理することができればノックオンにはなりません。
地面に落とすか、前方にいた選手に触れた時点でノックオンになります。
「他の選手」は相手チームでも味方チームでも関係ありません。
ただし、味方チームがノックオンになるボールを意図的にプレーしたら明らかにオフサイドなのでペナルティー対象の反則になります。
(ノックオンオフサイド)
とにかく、ラグビーではボールを前に投げてはいけないのです。
前に足(脚)で蹴っても良いけど手はダメ、と覚えておけば観戦では意味はわかります。笑
ノックオンの判定は微妙です。
レフリーが見逃していることも良くあります。
「え~、今のがノックオン?」と思うことはしばしば起こりますがレフリーの判定次第なので応援しているチームのノックオンであれば我慢です。笑
実際には国際試合でも判定がおかしいと思えることが続くと観客からレフリーに対して敵味方関係無しにブーイングが起こります。
観客もレフリーの判定が偏った八百長みたいな試合は望んでいないということですね。
ノックオンのボールがタッチラインを超えたとき
ノックオンしたボールがタッチラインをでたときは、
ノックオンした相手側チームに3つの選択肢(オプション)が与えられます。
1つはノックオンをした場所でのスクラム。
これは通常のノックオンに適応されるプレー再開方法です。
2つ目は、ノックオンしたボールがタッチを切った地点でのラインアウト。
これはアドバンテージを活かしたタッチを選択したことになりますね。
もう一つは、タッチを選択したクイックスローイン。
これはレフリーの指示を待たなくてもかまいません。
クイックスローはタッチを切った地点より自陣側であればどこでも可能です。
ノックオンではプレーを止めない
明らかにノックオンであってもレフリーは試合をすぐには止めません。
相手側にアドバンテージを与えプレーを続行させます。
ノックオンした後に相手側にボールがキープできていない場合(利益を得ていない場合)は試合を止めてスクラムとなりますが、相手側がボールキープした場合はプレーを続けるようにアドバンテージをみますのでノックオンしたチームは気を抜くことはできません。
ノックオンはミスです。
ミスはあってもしかたないことですが、その後「あ~ノックオンしてしまった」と気落ちしている高校生がたまにいます。
気を抜かず後のディフェンスに気持ちを切りかえましょう。
ノックオンにならない場合
ノックオンの定義としてルールにある「ボールキャリアーから」とは、ボールをとろうとするとき、またはたたき落とすときのことです。
このときはノックオンにはなりません。
ボールキャリアーがボールを持っていたとされるからです。
しかし、一旦奪ったボールを落とせばノックオンですよ。
タックルしたときに触れたボールもボールキャリアーの手から離れることになるのでノックオンになります。
「タックルの成立」は改めて書くことにしますが、
ラグビーのプレーの中で重要になるのでプレーヤーである高校生はしっかり確認しておいた方が良いですね。
もう一つ、
相手がキックした直後にボールをたたき落とすチャージダウンはノックオンにはならないというのは有名だから説明の必要はないでしょう。
チャージダウンの瞬間映像その1
チャージダウンの瞬間映像その2
チャージダウンについては別に詳しく書いた方が良いくらいケースが別れます。
ややこしいのでここではスルーします。
故意のノックオン
わざとしたノックオンのことです。
これはペラルティーとなるのでペナルティー対象ルール全てが適応されます。
トライがからんだプレイではペナルティートライもあり得ます。
持っていたボールをわざと落とすプレーヤーはいないでしょうが、相手のパスに対し取れないとわかっていながら手を出すことは「故意」と判断されます。
「いや、とる気あったし」といっても片手でとろうとしても「とる気ない」とみなされます。笑
「わざと」「故意に」にあたる「intentional」(インテンショナル)が前についた「インテンショナルノックオン」はペナルティーです。
ミスという軽い罰則ではなくペナルティーという重い罰則が与えられますからね。
ラグビーに限りませんが、わざとした反則に対しては厳しい罰則が与えられます。
他のスポーツ同様ラグビーでも退場ということもあり得ます。
自分がプレーしてはいけない状況を判断し、その後の対処ができるかどうかがポイントです。
少しでもルールを知って、練習で身体に覚えさせ、判断をはやくすることでチームを勝利に近づけましょう。