2017年のラグビー試験実施(テスト)採用ルールをまとめてみました。ラグビーのルールは毎年変わっています。安全に、スピーディーに公平に試合をできるようにです。わかりにくいラグビールールですので知らなくても観戦には困りませんが、選手は知っておいた方が良いですよね。


2018年5月に、2017-18シーズンのテスト採用だったルールは正式に採用されることが決まりました。

2017年試験実施ルール

高校生の場合、監督やコーチから教えてもらうことになるとは思いますが、もしなくても認識しておいた方が良い改正もありますので見ておきましょう。
第97回全国高等学校ラグビーフットボール大会
通称「花園」でも適応されるようですよ。
地方の予選大会でも取り入れてましたからね。

今年の花園出場校や日程などは外部サイトになりますが
第97回花園ラグビーの出場校と日程・結果
が参考になります。
これだけの情報を求めるのはたいへんだと思いますが、好きなんでしょうね。
「高校ラグビーサイト」は背景が黒で目がおかしくなりそう。笑
当サイトでは結果が出たらご報告することにします。

アンコンテストスクラム

アンコンテストスクラムとは形だけスクラムを組むけど、コンテストしない、つまり押し合って競わない、というスクラムのことです。
通常のスクラムと異なる点は、ボールを取り合わない、ボール投入側が必ずボールを獲得する、双方ともスクラムを押してはならない、ということ。

今年の試験実施ルールでは、このアンコンテストスクラムにおいて、

退場、一時的退出、または、負傷によるアンコンテストスクラムは、
両チーム8名ずつで行われなければならない。

ん?何が変わったの?
と興味がある人はラグビーに詳しい人、またはラグビーでフォーワード経験者に聞いて下さい。

「わからない」という答えが返ってきた場合、
知らなくてもラグビーはできるんだと思ってください。笑

プレーヤーの服装

ラグビーの競技中につけることができる服装のことです。
「着用しなければならないもの」と「着用しても良い」ものとがあります。
当然ですが硬いもの、危険なものは着用禁止です。
安全性の面から19歳未満は「着用しなければならない」義務になるものが増えます。
ちなみにヘッドギアは19歳未満は義務ですが、19歳以上でも着用が許されているのでワールドカップクラスでもつけているのを見ることがありますよね。

数学のような話ですが、「未満」は「まだなっていない」、ということですので高校生の場合普通は18歳のまま卒業しますので、19歳未満のルールが適用されます。

危険ではなく保護を目的とするものならおおよそ認められるとおもっていていいです。
ただし、IRB認定されている製品なら、という条件が多くの場合ついてきます。

ところが今年から「大丈夫?」と思える保護具が認められるようになりました。
ヨーロッパの一部では以前から認められていたのですが、国際的に認められたのが今年からです。
それが『ゴーグル』です。
水泳のゴーグルのように小さくはありません。
両目全体を覆うような大きさのものですが基準をクリアーしている日本製はまだないのではないのかな?

プレーヤーは、ワールドラグビーの承認マーク(規定第12条)が付いたゴーグルであれば、着用することができる。

第12条 プレーヤーの服装に関する規定
あらゆる試合に関して、協会、アソシエーション、ラグビー団体、クラブ、プレーヤーと人は、
本規定に示された、プレーヤーの服装に関する規定、
また、付属文書1に示された詳細がすべて守られているようにしなければならない。
理事会は適宜、本規定に示されたプレーヤーの服装に関する規定、及び/または付属文書1に示された詳細を、補足・修正、及び/または変更できる。

試合時間

これは試合競技時間が延びると言うことではなく、試合終了に関する変更です。
サッカーのように時間が来れば試合が終わるのではなく、
ボールがデッドになったときに試合が終わるラグビーでは「ボールデッド」を明確にする必要があると言うことですね。

時間が経過した後、ペナルティキックを直接蹴り出した場合、ボールが投入され、次にボールがデッドになるまでプレーは続行する。

ペナルティー直後のキックでは、直接タッチを超えても次に行うラインアウトではまだボールを投入するのはペナルティーキックを蹴った側です。
この場合はボールデッドとはみなさず試合を続けるということですね。

マッチオフィシャル

審判がジャッジを公平にするための措置です。
きわどいプレーが多いので録画を利用していい、という改訂です。
TMOは以前からありましたが、利用出来る範囲が広がったということですね。

試合主催者は、機器を使用して以下に関する状況を明確にするため、
テレビジョンマッチフィシャル(TMO)を指名することができる;
(i) トライ、または、タッチダウンにおいて、ボールがインゴール内でグラウンディングされたかどうか、疑いがあるとき。
(ii) ゴールキックが成功したかどうか、疑いがある場合。
(iii) プレーヤーが、ボールをインゴールにグラウンディングする、
または、ボールがデッドとなる前に、タッチに出ていたのか、もしくは、タッチインゴールにあったかどうか、疑いがある場合。
(iv) マッチオフィシャルが、トライにつながる、あるいは、トライを妨げる違反または反則が起きたかもしれないと考える場合。
(v) マッチオフィシャルが、不正なプレーがあったかもしれないと考え、見直す状況。
(vi) 不正なプレー行為に対して求められる罰の確定。
(c) TMOを含むマッチオフィシャルはいずれも、TMOによる見直しを提案することができる。
見直しは、そのときに定められているTMOプロトコルに従って行う。

アドバンテージ

日本語の意味は「有利」です。
反則があったとしても反則された側に利益があると判断された場合はプレーを続行することです。

アドバンテージの定義は、
「アドバンテージの規則は、他の大部分の規則に優先し、その目的は、反則による競技停止を少なくしプレーの継続を一層計ることにある。
プレーヤーは相手に反則があっても、レフリーの笛に従ってプレーすることが求められる。
レフリーは、競技中に反則があっても、その結果相手側が利益(アドバンテージ)を得る可能性のある場合には、その反則に対して直ちには笛を吹かない。」

となっています。
このアドバンテージの決定権を持つのは唯一レフリーのみ。

そしてこのアドバンテージに新たに試験採用ルールとしてあるのが、アドバンテージの重複のケースです。

同じチームによる複数の反則に対してアドバンテージが適用されているとき、レフリーは、反則をしなかった側のキャプテンに最も有利なペナルティの地点を選ばせる。

有利な、というのは地域的にも戦術的にも言えることなのでレフリーの判断で決められていましたが、キャプテンが選ぶことができるようになりました。

得点方法

これは別の記事でも書いた事がありますが、
ペナルティートライの後のコンバージョンゴールです。
ペナルティートライは以前からありましたが、その後のコンバージョンがなくなりました。
得点は7点です。

ペナルティトライ:相手側の不正なプレーがなかったならば、ほぼ間違いなくトライが得られたものと認められた場合は、ペナルティトライが与えられる。
コンバージョンは行わない。

ゴールラインぎりぎりの攻防で、突然レフリーがゴールポスト中央に行って手を上げて笛を吹いたときは「ペナルティートライ」と判断してかまいません。
これは位置に関係なく「中央でトライされたものとみなす」ペナルティトライ独特のものなのですぐにわかります。

タッチ

タッチライン上の立平面に関するルールです。
これが1番ややこしい変更点かもしれません。
今までのルールで慣れているプレーヤーにとっては必ずチェックしておくべきルールですね。

タッチの定義を抜粋すると、
「プレーヤーがボールを持っていない場合、
ボールが、タッチライン、タッチラインの外側の地面、タッチラインの外側にある物、
あるいは人のいずれかに触れた場合、そのボールはタッチである。
プレーヤーがボールを持っている場合、ボールまたはボールキャリアーが、タッチライン、
あるいはタッチラインの外側の地面に触れた場合、そのボールはタッチである。
タッチになった地点とは、ボールあるいはボールキャリアーが、タッチラインに触れた、
あるいはタッチラインを横切った地点をいう。
プレーヤーが、片足でもタッチライン上あるいはタッチラインの外の地面においてボールを捕った場合、そのボールはタッチである。
ボールキャリアーが、片足をフィールドオブプレーに、片足をタッチに置いている場合、そのボールはタッチである。」

となっています。これは今までと変わりません。
そこに変更が加わります。

このとき、ボールがキャッチされたときにタッチ上の立平面に達している場合、ボールをキャッチしたプレーヤーはボールをタッチに出したとはみなされない。
ボールがキャッチされた、または、拾い上げられたときにタッチ上の立平面に達していない場合、ボールが動いていても止まっていても、ボールをキャッチしたプレーヤ
ーはボールをタッチに出したとみなされる。

ボールが動いているうちは片足が出ててもタッチに出したのではなく、タッチに出ているボールを拾ったとなっていたので少し戸惑う選手も出てくるでしょうね。

「両足が競技区域にあるプレーヤーがボールを受けたときは、たとえその直前にボールがタッチラインまたはタッチインゴールラインを横切ってもタッチまたはタッチイン
ゴールにはならない。このようなプレーヤーはボールを競技区域にノックしてもよい。」
この定義に立平面を加えたルールが

プレーヤーが競技区域から跳び上がり、タッチ、または、タッチインゴールに着地する前に、ボールを競技区域へ跳ね返した(または、そのプレーヤーがボールを捕り競技区域へ投げ戻した)場合は、ボールがタッチ上の立平面に達してもしなくても、プレーは続行する。

ということでしょう。

タッチ際におけるキックとノックの定義です。
「ボールがタッチライン上の立平面を越えていないときは、タッチにあるプレーヤーがボールをキックあるいはノックしてもタッチにはならないが、ボールをつかんだときはタッチとなる。タッチライン上の立平面とは、タッチラインの上に想定された垂直な平面である。」

ボールがタッチより中なら、つかまずに中に戻せば選手が外にいてもタッチにはならない、ということですね。
ここにも試験採用ルールがあります。

ボールを支配しようとしているプレーヤーは、ボールを保持しているとみなされる。

これはあいまいな気がしますので判定例を見ながら書き加えることにします。

もう一つあります。

ボールキャリアがタッチ上の立平面に達したが先にタッチに出ることなく競技区域にボールを戻した場合、プレーは続行する。

簡単にいえば、ボールを持っている選手がタッチラインを飛び越えたけど、タッチの外の地面に着く前に、中にボールを投げたり蹴ったりして戻したらプレーを続行する。
ということですね。

夏頃から
スクラムのときの、
ハーフのボール投入方法、
ナンバーエイトのボールへの着手、
および、
タックラーのボールへの着手、
ラックの際のボールへの加わり方、
などの項目が追加されていますが、観戦には支障はありません。
要はあいまいだったオフサイドの定義がはっきりしてきているだけです。
タックラーもゲートを自陣側から通らなければオフサイド、
ラックでは前に蹴り出したらダメですよ、ということですね。

これらのことは2018年に正式採用されたことでルールブックに載っています。
ご確認ください。

選手は新しいルールなので協会から通達を受けているでしょう。
ここでは改めて書きません。

観戦でもプレーでも一番であう機械が多いのはタッチ際でしょうね。
選手達、がんばってルールも覚えて下さい。