ラグビーのポジションは他のスポーツ同様それぞれの役割があります。専門職といわれるポジションもありますが固定の役割だけすれば良いということはありません。同時にプレーする人数の一番多いスポーツなので少し複雑に思えますが15人制で説明します。


追記になりますが、ラグビー協会からの選手交替ルールの明確化ついての通達も添えておきます。

ラグビーの試合における人数

15人制の試合に登録できる人数は1チーム23名です。
スターティングメンバーと呼ばれる15人と、サブ(控え)と呼ばれる交替・入替要員の8人が最大です。

交替とは、負傷した味方のプレーヤーと交替すること。
入替とは、戦術的理由で味方のプレーヤーと入替わること。

交替と入替は意味が違います。
交替とはケガなどで一時的にプレーできないときにケガしたプレーヤーの替わりにプレーすることで、元の選手は再度プレーに戻ることは可能です。
入替は選手を意図的に替えるので基本的には前に入っていた選手はプレーに戻ることはできません。
もちろん例外はあります。
例えば、ブラッドビンと呼ばれる出血による交替などです。
観戦するにしてもプレーするにしても、レフリーの判断に従い監督およびスタッフが決めることなので細かいことは知っておく必要もありませんので詳しくはルールブックにお任せします。笑

ただ、ラグビーでは血を流しながらのプレーは禁止されていますし、血のついたユニフォームのままプレーすることも禁止されています。
たまに同じ番号をつけた選手や番号無しの選手が出ていたりしますが、血がついて換えがなかったからですね。

ポジションと番号

ボールを使うスポーツで最多人数で競技するラグビーのポジションは大きく分けて、

フォワード(FW)
ハーフバック(HB)
バックス(BK)
の3種類があります。
※ハーフをバックスに含めて2つにつに分ける場合もありますが、とりあえず3つと言うことにします。

フォワード

PR:プロップ 背番号1&3
prop=「支柱」という意味です。
つまりスクラムの支え、要ということです。
1番はスクラムの際、片側の肩で組むので「ルースヘッドプロップ」
3番は両肩でスクラムを組むので「タイトヘッドプロップ」と言うこともあります。

HO:フッカー 背番号2
hooker=「引っかける人」という意味です。
スクラムの際、ごついプロップ2人に挟まれ、SHの入れたボールを足で引っかける人、ですね。
ラインアウトのときはボールを投げ入れるのもフッカーです。

LO:ロック 背番号4&5
lock=「鍵」という意味です。
スクラムでPRのマタから手を回し鍵のようにがっちり固め、PRとHOのでかいケツを後ろから押します。
4と5の役割の違いは監督にでも聞いて下さい。

因みに、
1~3までを第1列、
4,5を2列といい、
1~5までをタイトファイブと呼びます。
6~8を第3列と言います。

FL:フランカー 背番号6&7
franker=「側方部隊」(軍隊用語)が語源みたいです。
スクラムではLOを片方の肩だけで押す位置にいるのですぐに離れて攻守に動き回る一番仕事量が多いと言われるポジションです。
マンガ「ALL OUT」の有力フランカーは、フランカーの仕事は「ぜんぶ」と答えていました。

NO8:ナンバーエイト 背番号8
スクラムの8番目の選手なのでNO8。
スクラム最後方からスクラムをまとめ、HOとともにスクラムを調整する重要な役目。戦略の要にもなります。

ハーフ

SH:スクラムハーフ 背番号9
scrum half=「スクラムの近くにいる」(半分スクラム位置にいる)という意味だと思います。
スクラムでボールを入れる係。フォワードとバックスのつなぎ役でパスさばきはどのポジションよりも正確。
ラックやモールからバックスにボールをまわすのもスクラムハーフがほとんどやります。
当然、スピードが要求されるポジションですので自分自身での突破もあります。

SO:スタンドオフ 背番号10
stand off=「離れて立つ」(スクラムから)という意味です。
パス、キック、ラン全てにおいてスキルが要求されるポジション。
ゲームをコントロールする『司令塔』、といえば誰も文句は言わないでしょう。(笑)

バックス

CTB:センター 背番号12&13
center three-quarter backs=「4分の3の位置にいるバックス」という英語「4分の3」にセンターが付いたポジション。
昔ポジションを8分割していた時代があるらしく、そのときに6番目のポジションだったので、
6/8=3/4で three-quarter となり、
WTB(ウィング)に挟まれたバックスということからセンター(center)が付いたんだそうです。
バックスの中心、攻守において身体をはる。バックスの中で最も強靱な肉体を必要とします。
12番はインサイドCTBと言われ、SOとの連携でキックやパス、突破の選択ととっさの判断が要求される。
13番はアウトサイドCTBと言われ、ウィングがトライを取れるようアシストすることが多いですが、スピード、突破力とパススキルが求められる重要なポジションとなります。

WTB:ウィング 背番号11&14
wing=「翼」を意味するwingに three-quarter backs がついた名前。
バックスの両翼に位置し、快足を活かしトライを量産する花形ポジション。
最近ではどのチームもディフェンスラインの整備が良くなっていて簡単には崩せないのでタックルを受けても倒れない強さやパスセンスも要求されるようになっています。
日本代表山田選手がWCRで見せたようなアクロバティックなプレイも多くなります。

FB:フルバック 背番号15
full back=「バックス最後方」という意味になります。
昔の8分割時代、最後方8番目の位置にいたので、8/8=1(full)から付いた名前のようです。
重要な仕事はディフェンス(守備)において最後の砦となることでしょう。サッカーのキーパーのようなものです。
タックルの強さ、キャッチのうまさ、キックの精度と飛距離を備え陣地回復に貢献する。
オフェンス(攻撃)ではデフェンスラインの整備が進化してきているので、
SOやCTBとのサインプレーで突破口を作るキーマンにもなります。
カウンターアタックが見せ場となるので走力、突破力も必要となります。

ポジションとサッカーの違い

サッカーではフォワードが攻撃で、バックスがどちらかというと守り、というイメージがあると思います。
もちろんプレー中はポジション関係なくプレーして良いのですが、ゴールキーパーが最前線にいないように、陣地による役割がある程度決まっていますよね。

ラグビーでも同じような役割がありますが、サッカーとは逆です。

フォワードは身体をはったデフェンス、またはオフェンスをし、
バックスはスピードを活かしてオフェンス、またはデフェンスをする、
とどちらかというとサッカーとは逆です。

サッカー同様にポジションに関係なく走る、蹴る、投げるということにかわりはありませんが、ポジション的に任される仕事の主な役割がサッカーとは逆になっている感じですね。
ただし、サッカー選手はフォワードもバックスも体型では見分けがつきませんが、ラグビーは体型をみればおおよそ見当がつきます。
特にフロントローと呼ばれる最前列の両端にいるプロップは歴然です。笑

フォワードとバックスを簡単に見分ける方法は、
スクラムを組むときボールを入れる人以外の8人がフォワード、と覚えておけば大丈夫です。

スクラムの人数は「1チーム8人で組まなければならない」と試験的ルールに入っていますので間違いありません。

試合を観るときに比較するのは、スクラム8人の合計体重です。
テレビ観戦していると「パックウェイト」と表示されるものです。
重い方が有利ですが、日本は世界と比べるとどこよりも軽いけど、それでも2015年まではスクラムは強かったですよね。

あれは選手のやる気が変わる一番の要因だったかもしれませんね。

ラグビー協会からの選手交替に関する通達

日本ラグビーフットボール協会から選手交替についての通達がありましたのでここでもお伝えしておきます。

15人制・ハイパフォーマンス・レフリーマネージャーであるアラン・ローランド氏が、競技規則3.14の以下の項目について、指定メンバーによる競技規則の明確化を求めた。
1.負傷したプレーヤーは、不正なプレーがあった時点で退出しなければならないのか、それとも、まずはプレーを続けようとしてよいのか?
2.22番が、10番の選手の戦術的交替で入ったのち、不正なプレーによって負傷した場合、他の控えプレーヤーがまだベンチに残っていても、10番のプレーヤーともう一度交替することはできるか?
3.この競技規則における不正なプレーの定義とは?
4.レフリーが不正なプレーに対するアドバンテージを適用した場合、どうなるのか?それでも、プレーヤーは交替できるのか?
5.自由入替え制を実施している試合では、どうなるのか?
6.負傷したプレーヤーは、完全に退出しなければならないのか、それとも、適切とみなされる場合はあとで試合に戻ることができるのか?

ラグビー委員会の指定メンバーによるルーリング:

指定メンバーが本件について検討し、以下が適切な回答である:
1.交替はただちに行われなければならない。
2.質問にある交替で下がった10番は、他の交替のプレーヤーがまだ残っていても、試合に戻ることができる。
3.競技規則10.4にこの競技規則における不正なプレーの定義が記載されている。
4.できる。プレーヤーは、次に試合が停止した時に交替しなければならない。
5.プレーヤーは、負傷したとみなされ、以後、フィールドオブプレーに戻ることは許されない。
6.負傷して交替したプレーヤーが出た場合、そのプレーヤーは、試合に戻ることができない。負傷を評価している間の一時的交替はない。

これを見てもわかるようにルールに対する認識や解釈はレフリーでさえ明確ではありません。
ただ、疑問や明確化にたいしラグビー協会は世界的に実直に取り組んでいるということはいえますね。

プレーする人、観戦する人が、日本でももっとたくさん出てくるといいなあ、と思います。